nothing there
そこにあるのだと思っていたものが
何もないとわかったのはいつのことだろう
何もできないと思っていたことが
何もかもできると思い込んだのはいつのことだろう
ひとりでにひとりで
わからなくてそれでよくて
そこにいるのはもう本物ではなく
どこにもいないのはもう自明である
走り出す
光の中
小さなもので
流れ落ちるニュースをひとつすくい上げてみると
ただ余計に虚しくなるんだ
砂
裸足で
波打ち際
足を沈ませると冷たいのだ
この下には水があるのだ
当たり前のことなのに
感じなくては忘れていることが多い
伝えたいことなんて本当はなくて
何も伝えられないことばかりで
そこに何もかもを乗せてしまえば
ここは少しだけ楽になる
騒がしさに埋れてしまえばいい
どこにいるのかさえわからないほどに
消えてしまえばいい
塵にも満たない小ささで
自転車
排気ガス
喉の痛み
心の中にあるものは
きっと誰にもわからないね僕自身にも
雨が止まない
天気予報外れの
どこまでも続いていく水の落下
雨が降る、ここにも雨が降る
人生を好転させるたった2つのこと 「自分には何もない」と思った時に読む本 (角川フォレスタ)
- 作者: 吉江勝
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2012/06/30
- メディア: 単行本
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