読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

【映画感想文】僕たちは世界を変えることができない。

2011年にこの映画が公開された時、僕はこの映画を見たいと思いながら、結局見なかった。それからしばらくしてレンタルDVDになっても、見ずにいた。特に深い理由があったわけではない。でも、そうやって見よう見ようと思っていながら見ていない映画というのは、自分が思っているよりも多いような気がして、なんだか、少し寂しいようなそんなことをふと思った。

 

感想に入る(ネタバレあり)。

 


大学生がカンボジアに学校を作る話である。元々ノンフィクション本を元に映画化されたということもあってか、なかなか、リアルな部分があって、すんなり見ることができた。


僕は、大学時に国際関係を学んでいて、この映画に出てくる矛盾的感情、たとえば、「なぜカンボジアなのか」「他の国にだって、そもそも日本にだって苦しんでいる人がいるよね」「俺たちが学校を作ったってその後どうしてくの。維持できるの」と言ったことは、よく考えていたので、それがきちんと描かれているのはとても良いと思った。

 

タイトルにもあるように、僕たちは世界を変えることなんてできない。そのことは国際関係を学んでいて、ひたすらに感じていたことだった。だから、この映画は(原作もそうだが)、タイトルだけで、もう十分、国際ボランティアなどが抱える矛盾の本質を突いている。でも、「だから何もしない」のなら、それこそ何も変わらないのだ。

 

世界を変えることは僕達にはできない。でも、カンボジアに行ってその国の歴史を知って、現状を知って、学校を建てた彼らがその目で見て感じたことは、きっと彼らの心のなかにこれからもずっと残っていく。カンボジアにできた学校に通う生徒たちだって、大きくなったら、学校を作ってくれた人たちのことを忘れてしまうかもしれない。でも、きっとそういうものなのだ。

 

世界を変えられなくても、学校が完成し、開校式を行ったその瞬間、学校を建てた彼らとその学校に通う生徒の心は、たしかに繋がっていたんだと思う。その事実はこれからも変わらない。

 

自分にできることを、自分の周りの人たちに向けて、できる範囲で、やっていけば、何事も少しずつ変わっていくと思う。これは国際ボランティアに留まらず、生きることそのものについても言えると思う。

 

余談だが、実を言うと、僕は大学生の頃、この主人公たちと同じように、カンボジアに学校を作るプロジェクトに参加しようと思ったことがある。実際に、ある団体に資料請求をし、カンボジアに学校を建てた人達の体験談を読んだ。それでも、結局のところ僕は、団体に数万円寄付をしただけで終わった。その団体は、お金を集めるだけではなく、実際にカンボジアに行って学校を建てるのを協力するところまでやっていた(映画では、お金を集めてそれを送るというシステムが主)。

「日本は金だけ出して実際の援助をしない」、と批判されていたそのままの行動を僕はしていた。でも、お金だけでも出すのと出さないのとではやっぱり違うと、最近は思う(もちろんその団体が健全な団体であり、きちんと現地の人達のためにそのお金を使ってくれるところだということを確かめるべきだが)。

 

世界は変わらなくても、自分は変われる。ただ、何もしなければ、本当に何も変わらない。そのことがストレートに伝わってくる良い映画だと思う。