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元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

【映画感想文】東京難民

映画感想文

東京で暮らす男子大学生が主人公。父親が突然失踪、学費が払えなくなり、その後あれよあれよというまの転落人生をたどる…というストーリー。

*以下、ネタバレしています、ご注意ください。


人の生き方というのは、本当は、一つの道なんかない。けれども、日本には長らく、幸福になるための一つの道という目標があった。
それは、勉強を頑張って良い大学に入り、大企業に就職し、そのまま定年まで勤め上げ、定年後は年金で悠々と暮らすという生き方のスタイルである。

今では、このスタイルは通用しなくなっている。終身雇用制の崩壊、能力主義の会社の増加、働き方の多様化、非正規雇用の増加などによって、東京には自国民であるのに難民同然の人たちが増えている。

 

父親の突然の蒸発により、学費が払えなくなり、家賃も払えなくなった主人公は、ネットカフェで寝泊まりすることになる。日雇いのティッシュ配りをしても、実際の時給は900円程度。治験のアルバイトをし、やっとまとまったお金が手に入ったところで、可愛い女の子に声をかけられそのままホストクラブに連れて行かれドンペリをオーダー。酔いが覚めた時には稼いだ分を全額使ってしまっていた。そこで、なぜだか主人公は「ここで働かせてください」とお願いし、なんとホストになる。ある日やってきた看護師の子が主人公のことを気に入ってくれて、定期的に通ってくれるようになる。次第にホストと客以上の感情を持った二人であったが、ある事件をきっかけにもう一人のホストと共にホストクラブを失踪する。田舎の土木作業員になり、しばらくして、居場所がばれて、ホストクラブのボスに落とし前をつけられる。ボコボコにされて川に放置されていたところをホームレスのおっちゃんが助けて介抱してくれる。そこで、空き缶集めや雑誌集めをして微々たるお金を稼ぐ日々を続けていたが、ある日、男性向け週刊誌に看護師の子が夜の仕事をしているという記事を見つける。主人公は彼女に会いに行く。
このシーン。泣ける。

とにかく泣ける。

 

序盤の展開は主人公がバカすぎるので、「あれ、これダメ映画?」と思ったが、そうではない。じっくり見て、このシーンを見て、あとはラストシーンを見て、なんだか意外といい映画だったと思った。リアルに傾きすぎればそれはただのドキュメンタリーになってしまうけれども、きちんと映画(フィクション)になっていた。また、予想以上に主人公の男性、看護師の女性の演技が良かったので、最後まで見ることができた。

 

物価が上がり、消費税も上がるのに、給料は上がらない。何かをきっかけにして、突如、今の生活水準を保てなくなるかもしれない。この映画の出来事は、決して他人ごとではない。

 

東京難民(DVD)

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