元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

本に関する仕事がしたい

「本に関する仕事がしたい」

ずっとそう思ってきた。新卒で入った会社は、「過去に本を作ったことがある。これからも作るかもしれない」と聞いて入社した。しかし、その会社はマニュアル制作会社であった。今から10年ほど前のことになるが、すでに当時、マニュアルはオンラインで読むことが通例となっていた。実際には書籍を作ることはほとんど行われていなかった。

入社3年目の冬。僕は140時間の残業をして会社を辞めた。

後のことは何も考えられなかった。とにかく休みたかった。しかし、しばらくしてやっぱり思うのは「本」のことだった。本のデザインを決める装丁家になりたいと思い、イラレ、フォトショ、インデを学ぶPCスクールに通った。その学校のカリキュラムを一通り終えた。その後、ポートフォリオを作り、履歴書をデザイン会社に送った。けれどもいつまで経っても採用されなかった。何十通の不採用を伝えるメールが届いた。募集欄に「未経験可」と書いてあっても、やはり少しでも経験がある人がいればその人が採用されるのだ。

失業保険が切れて、自分の唯一の銀行口座残高が目に見えて減っていった。ついに僕は装丁家になることを諦めた。

それからは、新卒で入った会社の仕事を含め片っ端から応募した。その時、ご縁があったのが今の会社であった。最初は派遣として時給1000円で働き、1年後に正社員採用された。その会社で勤めて今年で6年目。繁閑の差がある今の会社は夏から冬にかけての半年間、残業が最大で月80時間+日曜出勤2日となる。今は最繁忙期は脱したが、まだまだ残業時間は80時間に近い日々が続く。

来年、仕事が落ち着いたら今の仕事を辞めて千葉に引っ越そうかと思っている。そこで果たして仕事があるのかどうなるのか、今は何も決まっていない。そんな状態で仕事を辞めるなんてどうかしていると思う人もいるだろう。僕自身、他人でそんな人がいたら「大丈夫かな」と心配になる。なにせもう34歳だ。若くはない。ただ、まだ完全に手遅れではないはずだ。なんとかしてみせる。

 

将来的には本に関する仕事がしたい。例えばブックカフェとか出版社とか。ただそれにはお金がかかる。今すぐに始めればきっと立ち行かなくなる。だから今は準備期間としたい。

 

そんな事を考えながら、先日、神保町で開かれていたブックフェスティバルに行ってきた。このブックフェスティバルでは、新刊の書籍が半額程度の値段で買える。というわけで僕は嬉しくなって結果的には数万円をつぎ込んで様々な本を買った。その中の一冊に、島田潤一郎『あしたから出版社』という本がある。この本を先程まで読んでいたのだが、内容がとても素晴らしい。ひとりで突然出版社をはじめた人の話なのだが、本が好きな人ならきっと感動すると思う(また後日、感想文を書きたいと思う)。この本を読んでますます僕は本に関する仕事がしたいと思うようになった。

本は僕が生きる上で必要なものだ。34年間生きてきて、これだけはずっと変わらない。きっとこれからもそうだ。だから、本に関わる仕事をしたい。気持ちばかりが先行してしまうが、気持ちがなければ何も生まれない。今はこの気持ちを大切に育てていきたい。

あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)

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