元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

【読書感想文】『世界の終わりと夜明け前』浅野いにお

 

 

世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

世界の終わりと夜明け前 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

 

 

 普段はあまり漫画を読みませんが、浅野いにお は読みます。どうしようもない若者たちの感じがどうしようもなくうまく自然に描かれていて、僕はもう30になったのに、未だにこれを読むと、心がモヤモヤしたり夜中にうぁー!と叫んでみたくなったりします。大丈夫です、思うだけで実行してません。

 

一人暮らし。だれもいない空間にただいま。あの頃に思い描いた夢は、今では遠く霞んでいて、そもそも夢なんかあっただろうか、と半ば自棄になり思う午前2時。 
思考はいつの頃からか泥に塗れていて、これ以上飲み込めないって言っても、これがほしいんでしょう、あれがほしいんでしょう、と次から次へと放り込んでくれるから、ただそれをなすがままに受け入れていれば、日々は光の如く過ぎていく。 

どうしてなんだ。 
うまくやれないのは。 
僕だけがこの世界で劣等の一位を独占していて、 
他の誰も彼もが楽しそうに生きていて、 
その状況を最初から諦めて、それでも空を見上げてみる。 

世界が終わる前の空は、いつか見たあの美しい夜明け前かもしれない。