【映画感想文】はじまりのうた
映画「はじまりのうた」を見た。
音楽とは何だろうか。歌とは何だろうか。そんなことを時々考える。僕は小さい頃から歌を歌うことがとても好きだった。
そういえば大学生の頃、アルバイト先の先輩と一緒にカラオケに行った際、「意外といい声してるね」と言われたことがあった。お世辞も入っていたとは思うけれど、声を褒められたのは嬉しかった。僕は普段から声が小さい。よく聞き返される。それに意識しないと相手の目を見て話すことができない。そんな感じだから、先輩も驚いたんだろう。
当時、カラオケは好きでよく行っていたけれど、それはただの趣味一つだ。第一、僕はすぐ緊張するタイプだから、人前で歌うのが好きではない。でも、歌うこと自体は好きだ。歌を歌うことは楽しい。そこに理由なんて無い。
音楽がある世界。その素晴らしさがよく現れているシーンがこの映画にはある。
シンガーソングライターを演じたキーラ・ナイトレイと音楽プロデューサーを演じたマーク・ラファロが夜のニューヨークを歩く。互いのプレイリストを二股のイヤフォンで同時に聞きながら。プロデューサーは、街角の何気ない風景が音楽を聞くとストーリーに変わる、というようなことを言う。このシーンにすごく共感した。そこに音楽があるだけで、世界は一変する。
ニューヨークには数年前に行った。地下鉄、エンパイアステートビルの景色、街中の何気ない通りなどのシーンを見ていくうちに、その時のことを懐かしく思い出した。
「あの頃に戻りたい」なんてそんなことばかり考える夜がある。もう戻れないのはわかっているのに。
戻りたい過去があるのは素晴らしいことだと誰かが言っていた。けれど、そうだろうか。現実が嫌だから戻りたいと思うのだ。とにかく今週は毎日残業続きで睡眠時間は5、6時間取れれば良い方だった。だからとにかく疲れていて早く眠りたいそんなことばかりを考えていた。けれどもせっかくの休みを無駄にしたくないという思いからブラックコーヒーを飲み、僕はこの映画を見た。劇的な何かが起こるわけじゃないこの映画を見て不思議なんだけれど、とても尊いものに触れたような気がした。余談だけれど、明日は休日出勤だ。休みは電車が空いていて良い、なんて思うほどには余裕あるのでまだ大丈夫か。
音楽好きな人はこんな駄文読んでないで是非見てほしい。音楽を聞いて鳥肌が立ったことがある人ならきっと好きな映画。