元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

即興短編小説

【即興小説】あの日

あの日。 君が生まれた日は、3月の終わりのとてもあたたかな春の日の朝で。 僕は35歳だった。 海の近くにある小さな病院で君は生まれた。 外の波の音が聞こえてくる病室で 予想よりも高い声で泣く君は 予想以上に小さくて華奢で 触れたら壊れてしまいそうで…

【即興短編小説】自粛

「自粛自粛ってさぁ、いつまですんの?」 「え? なんのこと?」 「え? マジで言ってんの?」 「んなわけないじゃん」 「だよな」 「うん」 「で、なんの話だっけ?」 「だから、自粛をいつまでするかって話」 「たしかに。外出を控えれば大丈夫なの?」 「…