元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

読書感想文

【読書感想文】『小説 すずめの戸締まり』(新海誠)

誰かがやってくれる。黙っていればいい。仕方ない。これは運命だ。諦める方が楽だ。やらなくていい。違う。やりたくない。何もしたくない。消えてしまいたい。こんな命。生まれたくて生まれてきたわけでもないのに。何のために。誰のために。生きている? 死…

【読書感想文】『赤目姫の潮解』(森博嗣)

「私が好きな作家は森博嗣」。 もう10年以上前のことだ。あなたからその言葉を聞いたのは。その日から僕はあなたの好きな森博嗣の小説を読み始めた。そんなあなたとは今、絶縁状態。でもきっと人との出会いなんてそんなものだろう。20代初め。今思い返せばた…

【読書感想文】『愛をください』(辻仁成)

愛って未だになんだかわからない。人を好きになることと愛することは似ているけれど少し違う。好きの先に愛があるとも限らない。愛されたい、愛したい、そんな言葉は妙に浮いて聞こえる。普段の生活の中に愛という言葉は存在していないかのようで、自分自身…

【読書感想文】『水曜の朝、午前三時』(蓮見圭一)

結局のところ、すべてその瞬間のタイミング次第だ、と最近よく思う。あんなに好きだったあの人とうまくいかなかったのは、性格が合わなかったとかそういうこともあるかもしれないけれども、その時の状況、タイミングが悪かった(合わなかった)とも言えるの…

学生時代に何度も賞をもらった人が教える本当に正しい読書感想文の書き方

これを読んでいるということは、あなたは小学生? 中学生? はたまた高校生? 夏休みの宿題で読書感想文があり、「面倒だな、ネットで検索して適当にコピればいいっしょ」と考え、検索してここにたどり着いたのかい? 当たっている人は素直にコメントを残し…

【読書感想文】『あしたから出版社』(島田潤一郎)

出版社は、大学生の頃の僕にとって憧れの働いてみたい場所だった。けれど自分が名前を知っている大手の出版社は大変な倍率でとても受かるような会社ではなかった。実際に大手の出版社を受けたが全て不採用だった。結局、就職先が決まらない焦りから出版とは…

【読書感想文】『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(村上春樹)

村上春樹の小説は思考の奥深くにいつも自分を連れて行く。ただ毎日を消化するように生きる中で、「考えてみたら?」とふと言われているかのような気分になる。正直言って心に余裕がないと読み進めることができない。 この小説は、村上春樹の中でもわかりやす…

【読書感想文】『君に言えなかったこと』(こざわたまこ)

生きていると、「あの時、あの言葉をあの人に言っていたら自分の人生の何かが変わっていたのでは?」と思う時があるのではないか。自分は最近それをよく思う。過去に出会った沢山の人達。今はもうそのほとんどの人と会うことがない。それどころか、連絡さえ…

【読書感想文】『満願』(米澤穂信)

これはすごい。読了後、思わず溜息がこぼれた。 短編集であるが、特に「夜警」、「万灯」が秀逸。 人の心の機微を繊細に拾い上げていくその書き方は読む者を物語の中にすっと引き込んでいく。 この世界に生きるどんな人でも「悪い人」の一面を持っている。生…

【読書感想文】『インソムニア』(辻寛之)

PKOとして日本の自衛隊が海外に派遣されている。この小説は、海外派遣された自衛隊員達が現地である武装勢力と出会ったことから始まる物語。フィクションではあるが、過去の自衛隊海外派遣のニュースを見ているので実際にありえそうな、現実感がすごい。 も…

【読書感想文】『南の島のティオ』(池澤夏樹)

数年前、サイパンに行った。どこまでも続く青い海、白い砂浜。そこにはイメージ通りの南国の楽園があった。いつか南の島で暮らしたい、そう思った。サイパンから帰国して数ヶ月が経っても、その気持ちはしばらく収まらなかった。けれど、現実を鑑みるとサイ…

【読書感想文】『時間革命 1秒もムダに生きるな』(堀江貴文)

想像してみてほしい。あなたは35歳の男性だ。今は、日曜の夜、18時半。明日からまた平日で仕事だ。5日間のストレスフルな生活が待っている。うんざりだ。宝くじでも当たらないだろうか。そうしたら、サイパンにでも移住してのんびり暮らすのに…… 内容に大…

【読書感想文】『絶叫』(葉真中顕)の感想は一言で言うと「すごい」

転職活動をしている合間に読んでいた『絶叫』(葉真中顕)。 総ページ数605ページ(文庫版)という長編なのだが、徹底したリアリティのある描写と様々な伏線が後半にかけて見事に回収されていく文章であっという間に読み切った。先日読み終えた際には、この…

【読書感想文】『小説 天気の子』(新海誠)

<2020年8月15日追記>「天気の子 読書感想文」で検索してくる学生さん? が多いみたいなので、読書感想文の書き方についてまとめた記事を書いた。読んでみるとためになる? かも。 motoishirei.hatenablog.com ※以下、感想の本文。 2019年7月19日公開の映…

挫けそうなとき、諦めてしまいそうなときに読み返したい詩

生きていると色々なことを考える。これを読んでいるあなたもきっとそうだろう。 もう夢を諦めてしまおうか。 そもそも夢なんてない。 こんな世界で夢なんて持てるわけがない。 そう思うときもあるだろう。でも、言い訳を呟いた後に、この言葉を贈りたい。197…

【読書感想文】『天国旅行』(三浦しをん)

天国って本当にあるんだろうか。漠然と楽園のようなイメージを持っている場所。そこへ旅行するんだからきっとハッピーな小説に違いない。そんな気軽な気持ちで手に取ったが、見事に裏切られた。 テーマは心中 死ぬこと、は、生きること。 答えはそれぞれの人…

【読書感想文】『自分を操る超集中力』(メンタリストDaiGo)

なぜあなたの集中力は続かないのか 集中力をつけるためにはどうすればいいか 答えを知りたかったら、この本を読んでほしい。 自分を操る超集中力 作者: メンタリストDaiGo 出版社/メーカー: かんき出版 発売日: 2016/05/31 メディア: 単行本(ソフトカバー)…

中学高校と友達が1人もいなかった僕を生かしてくれた本(小説)4選

友達がいない=ダメ人間? 友達がいなくもいい、僕には本がある 今も生きるのが辛いとかしんどいとかそういう人に向けて これを書いているのはこんな人 さよならブラックバード(景山民夫) ピアニシモ(辻仁成) スカイ・クロラ (森博嗣) 失はれる物語(…

「自分ってなんでこんなにダメな奴なんだろう」と自己否定を繰り返していた時に、自分の星座について書かれている本をたまたま読んでみたら意外と救われたという話

自分の悪い部分ばかりが気になって仕方がない。生きている価値がない。もう死んでしまいたい。楽になりたい。 そんな時はいくら外が晴れていたって、家に閉じこもる。誰にも会わないで、ベッドの上で丸くなり、目を閉じる。 「終われ!世界よ、終われ!」と…

【読書感想文】『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』(大崎善生)

人は出会い、そして別れる。 結局はその繰り返しなのだ。 限られた生の中で、沢山の人と出会い、そして別れていく。 誰かを好きになる。その他者と自分との距離が限りなく近づく。けれど、些細なことからすれ違い、その他者は自分の前から消えていく。時が経…

【読書感想文】『九月の四分の一』(大崎善生)

この本は短編集である。 前にも書いたことがあるかもしれないが、短編集というのは、本当に評価に困る。本来なら一つひとつに対して書評をすべきなのだろうが、そこまでして感想を書きたいとは思わない。それはこの本がつまらないとかそういう意味ではなく、…

100年後には、僕たちはこの世界にいないということ

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」 はてなブログの「今週のお題」が「人生に影響を与えた1冊」ということで、書いてみる。正直に言うと、そういう本は今までに数え切れないほどあって、とても一つに絞り切れない。 とはいえ、何冊も紹介してしまうと、個…

【読書感想文】『右岸(上・下)』(辻仁成)

僕がパリに行ったのは1年と少し前。それなのに、もうずいぶんと前の事のようにも感じる。もしかしたらあれは夢だったのではないだろうか、なんてことも思う。それが現実だったと思い出せるのは、セーヌ川とエッフェル塔の描かれた絵ハガキが今も自分の部屋…

【読書感想文】『ラバー・ソウル』井上夢人

最後まで読む価値があるほど面白いの? この小説は長編。ハードカバーで578ページある。読書好きな人にとっては気にならないページ数かもしれない。でも、普段本を読まない人にとっては「こんなに厚い本、大丈夫なんだろうか」と不安になるかと思う。本を読…

ブックオフでGWのセールをやっていたので興味のある本を片っ端から買ってみたら4時間も経っていたが至福のひとときだった。

GW期間中、ブックオフでセールをやっていた。本が全品20%オフだったのだ。ここぞとばかりにマンションから徒歩3分のブックオフに行ってきた。午後15時から店に入り、店を出たのは午後19時を過ぎていた。 合計三千円ほど購入。基本100円の棚から選んだもの…

生きることは苦しみである。

生きることは苦しみである。 うまくいかない。自分のダメなところばかり目について、毎日、溜め息をつく。 苦しい。 でも、生きることは、そもそも苦しみなのだ。この本に書かれてある通り。 結局は自分のことを何もしらない―役立つ初期仏教法話〈6〉 (サン…

【読書感想文】カシオペアの丘で(重松清)

「ゆるす」ということをテーマにした長編小説。 僕はこれまで幾度と無く人を傷付けてきた。そして、ゆるしを請うたこともある。逆もある。表面上は、「ゆるして」、「ごめんなさい」と言葉や表情で訴えれば、たいていのことはゆるしを得られる。けれど、ゆる…

【読書感想文】長い旅の途上(星野道夫)

長い旅の途上 (文春文庫) 作者: 星野道夫 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2002/05 メディア: 文庫 クリック: 22回 この商品を含むブログ (26件) を見る この本の著者は、アラスカの動物、自然などのカメラマンとして活躍した人だが、僕は彼の紡ぐ文章が…

【読書感想文】みなさん、さようなら(久保寺健彦)

団地から出られない主人公の話。 ーー 団地で思い出すのは、小学校低学年の頃のことだ。 僕には当時、とても仲のいい友達がいた。 彼は団地に住んでいた。 彼の住んでいた団地は、自宅から歩いて5分ほどのところにあったため、 放課後はしょっちゅう団地周…

【読書感想文】『夜市』(恒川 光太郎)

幼い頃、毎年春にやる祭りに行くのが楽しみで仕方が無かった。 その祭りでは、商店街にずらりと露店が出ていた。綿菓子、焼きそば、たこ焼き、りんご飴・・・お祭りに行く前に祖父母からもらった千円を持って行くのだが、優柔不断な自分は何を買おうか迷って…