元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

久し振りに

久し振りに
会った君は
あの頃と変わっていなくて

 

「ひさしぶりだね」と言う君の声は
あの頃と同じ高く澄んだままで

 

この五年間で
何が変わっただろう

 

君は結婚をした
僕はまだ独身だ

 

君は子どもを生んだ
僕はまだ子どもが苦手だ

 

君は家を買った
僕は6畳の賃貸住みのままだ

 

久し振りに
会った君は
あの頃と変わっていて

 

「変わっていないね」と言う僕の声には
少しだけ嘘が混じっていたかもしれない