元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

ELLEGARDEN復活と聞いて僕が思い出したこと

ELLEGARDEN(エルレガーデン(以下エルレ))が10年振りに再始動するらしい。10年前というと2008年。ちょうど僕が大学を卒業した年だ。もう10年も経つのか。時の流れの速さの方に驚いた。

エルレは大学生に入ってから知ったし、特別なファンというわけでもなかったのだけれど、カラオケで『Space Sonic』や『salamander』を歌うのが好きだった。日本のバンドで英詞でロックという最高にクールで盛り上がる曲を次々とヒットさせていた彼ら。かたや地方の大学で真面目に講義を受けてバイトをしていた僕。マジメを絵に描いたような僕にとってエルレの音楽は凶暴で、そして自由の象徴みたいなものだった。

 

大学三年の時、一年間休学してニュージーランドへ語学留学に行った。海外の語学学校に留学したことがある人なら知っていると思うけれど、大抵どこの語学学校に行っても日本人はいる。当時、アメリカやイギリスを避けてニュージーランドを選んだのは日本人が比較的少ないと言われていたからだが、行ってみれば日本人はやっぱりそれなりにいた。日本人がいるとどうしても授業以外では日本語を使ってしまう。マジメな僕は授業以外の休み時間でも日本人にできるだけ英語で話していた。それが学校のルールだったし、そうでもしなきゃ高い留学費がもったいないと思ったからだ。しかし、学校が休みの週末の場合は話が別だった。一人でも日本人以外の留学生がいれば僕は英語しか話さなかったが、日本人だけの場合やっぱり日本語が口をついて出た。そこらへんが僕の意志の弱さなのだろう。

 

とにかく、僕が留学して半年ほど経った頃、ある日本人女性が僕がいるクラスに入ってきた。彼女は名前をトモコ(仮名)と言った。多分、年齢は20代後半くらいだったかと思う。真面目な彼女と僕は気が合い、時々週末にカフェに行って話したりする仲となった。ある日、彼女の好きなアーティストがエルレということを知った。当時の僕は、エルレが好きだけれどアルバムを買う程ではないと思っていたため、CDを持っていなかった。彼女は『Space Sonic』や『salamander』が入ったCD(ELEVEN FIRE CRACKERS)を持ってきていると言った。彼女にそのCDを借りて日本から持ってきていたパソコンにデータを入れた。

その後、エルレについて話し合ったのかどうか、正直なところあまり覚えていない。多分、CDを返して、「やっぱりエルレって最高だよね」とか言ったような気がするが、そこからさらに発展して何かということはなかった。お互いに恋愛関係になるという意識はなかったし、良い友人であったと思う。彼女は3ヶ月ほど語学学校に通った後、ファームステイ(農場に滞在しながら暮らす)をしていたような気がするが、学校を離れてから特に連絡を取らなかった。今ではどこで何をしているのかもわからない。元気でいるのだろうか。僕のことを時折思い出したりすることがあるのだろうか。いずれにせよ、どちらでも良いと思えるほどに今は距離も時間も離れている。ただ、エルレの復活を聞いて、僕は彼女のことを思い出した。そして彼女の人生に思いを馳せた。彼女にも同じことを思ってほしいなんて思わない。ただ、元気で、自分の人生を自分らしく生きていてくれたらと思う。

 

この話はこれでおしまいで、だから何?So What?と言われると思うけれど、エルレが復活すると聞いて思い出したので書いておく。

ELEVEN FIRE CRACKERS

ELEVEN FIRE CRACKERS