元はただの石ころ

「確かなのは過去でも未来でもなく今」とわかっているけれど、そう簡単に割り切れない奴の日常

触れ合いのない世界で

いつの間にか会社で必要な人以外とは全く接触を絶って生活するのが当然となった。元から人と関わるのが得意でない人間なのでそれもまた苦痛ではない。むしろ他者との距離を意識的に取れるというのは素晴らしいことだと思っている。マスクについても毎年春の花粉症対策と冬のインフルエンザ対策でマスクを常時付けている生活をしていた身からすると何の苦もなく違和感もない。

本当に会いたい人にはもう会うことができない。連絡もずっとしていない。もしかしたらもうこの世界にいないかもしれない。わからない。そんなこの世界で、触れ合いのなくなったこの世界で、それでも毎日仕事に行って帰ってきて食事を摂り眠りまた仕事に行く。現職は夏季休暇もなく祝日もなく平日はひたすらに働く。おまけにたまに土曜出勤日がある。それは今週末で心底うんざりしている。お金は貯まると思いきや37歳が一般的に稼ぐ額よりはるかに低い金額なので、微増程度に留まっている。

こんな状態で、一体何のために生きているんだろう。と何億回と考えてきたことを今、また考えている。理由なんかないのだ。きっと今日も疲れてやがて眠って明日には仕事のことや日々の些末な事を考えなくてはいけなくて、この気持もきっと忘れていく。疲弊とか消耗とかそんなことさえない。ただ淡々と日々は過ぎていく。感情を極力内側に閉じ込めて、外側に上っ面の良い作り笑顔とばれない自然な笑みを浮かべておけば、毎日は何気なく過ぎていく。

これが人生なのだろうか。

そうなんだろう。

これを望んでいたのか。

そんなことはない。

でももしかしたら

望んでこの生活をしているのかもしれない。

今日、夕焼けがきれいだった。

でも、誰も見ていなかった。

触れ合いのなくなったこの世界で

誰もが他の人を見ていない。

 

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